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NO EASY DAYS TO BE A WINNER RSS

2016年12月26日 22時22分

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NO EASY DAYS TO BE A WINNER――育英(兵庫)のセカンダリーの背中にはそう書いてある。メーカーが考えたデザインコピーだが、文字どおり、育英にとって簡単な日々はなかった。

容易ではない日々を送ることで、育英の強さは培われてきた

容易ではない日々を送ることで、育英の強さは培われてきた

それはウインターカップ2016でも続く。初戦で大分舞鶴(大分)を破ると、2回戦の桐光学園(神奈川)戦は83-74で競り勝つ。迎えた3回戦の相手は、前日に福岡大学附属大濠(福岡)を破り勢いに乗る北陸(福井)である。

序盤は北陸が走った。しかし沼波 望コーチは「相手のシュートが連続で入っていましたが、これ以上はないと思いました。我々の選手たちもいいシュートを打っていたし、あとはそれを決めるだけだったので、特に慌てることもなく、ガードを信じていました」とタイムアウトを取らず、コートの選手たちを見守った。その言葉どおり、徐々に育英のシュートが決まり始め、第1ピリオドを終えたところでは22-22と追いついていた。

そこからは、北陸が抜け出せば育英も追いつくといった競り合いが続き、試合は残り7秒で同点。フリースローを与えた北陸⑩シェーク ケイタ選手に1本目を決められ、1点勝ち越しを許してしまう。2本目は外れたが、そのリバウンドを北陸に奪われ、たまらず⑬菊地 敦友選手にファウルをしたとき、ゲームクロックは残り2.6秒を示していた。その⑬菊地選手が2本目のフリースローを外すことで時間を流したため、育英は1点及ばないままタイムアップ(85-86)。育英のウインターカップ2016はその瞬間に幕が下りた。

試合後、沼波コーチは脅威ともいうべき粘り強さについて、こう語っている。
「今の3年生は3年間ずっと練習から努力をしてきた選手たちです。そこから粘りが出ているのかな。いつ、どこと対戦してもあれくらいは粘れるんです。10点離れたときにも、追いつけると信じていました」

悔やまれるのは193cmの2年生センター⑮小島 基嵩選手がファウルアウトをしてしまったことかもしれない。北陸の留学生、⑩ケイタ選手とマッチアップし、やられる場面もあったものの、それでも体を張ってよく守り、長い手を駆使したリバウンドやフックシュートで得点も重ねていた。沼波コーチも「よく頑張ってくれました。彼は1年間、本当によく成長してくれました。彼がいなければリバウンドでもっとやられていたと思います」と称賛する。それだけに終盤、特にリバウンド争いに彼がいなかったことは――190cmの1年生センター⑱藤本 翔己選手も頑張っていたが――、結果的に1点差だっただけに悔やんでも悔やみきれない点だろう。

小島選手自身も「自分がマークしていた留学生にゴール下でやられてしまって、自分のせいで負けたと思っています」と自責の念にかられる。
それでも203㎝の⑩ケイタ選手とのマッチアップについて「15cmの差は大きかったけど、自分のやれることはやろうと思って、リバウンド、ゴール下のシュートで勝つつもりで臨みました。今の自分の精一杯は出せたと思います」と振り返る。

今年の育英は3年生の力が強く、全国でも勝っていける自信があったと⑮小島選手は言う。だからこそ、チームのセンターである自分自身が活躍していかないと、全国の上位には食い込めない。そう意識して、練習からポジション取りの姿勢を正し、弱かった下半身の強化にも積極的に取り組んだ。体だけでなく、心の部分でも全国のビッグマンたちに負けないように自らを律し、鍛えてきた。沼波コーチも「それが1年生のときとの違いです」と認めている。

心身を鍛え、留学生相手に果敢に戦った育英⑮小島 基嵩選手

心身を鍛え、留学生相手に果敢に戦った育英⑮小島 基嵩選手

この悔しさは来年に晴らすつもりだ。
「来年は僕にとって高校生活最後の年。留学生に負けないくらい強くなって、1対1もしっかり決められるチームのエースになりたい。そして先輩たちが成し遂げられなかった、全国ベスト4を目指したいです」

育英の、そして⑮小島選手の“NO EASY DAYS TO BE A WINNER”はまだまだ続く。

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