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現地レポート

欠けていた“自分たちらしさ” RSS

2016年12月23日 20時23分

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ドライブで果敢に攻めた尽誠学園④松本 雅樹選手

大会初日、男子1回戦の中でも注目カードとなったのが、前年王者・明成(宮城)と尽誠学園(香川)の対戦だ。厳しい練習を積み重ね、ともに毎年好チームを作り上げることで知られる強豪チーム。明成は八村 塁選手(ゴンザガ大)、尽誠学園は渡邊 雄太選手(ジョージ・ワシントン大)という、現在アメリカNCAAで活躍するスター選手を輩出したことでも、その名を知られているだろう。付け加えれば、八村 塁選手は2013~15年にウインターカップ3連覇、渡邊雄太選手は2011~12年に2年連続準優勝を成し遂げたときの絶対的エースだ。

そんな明成と尽誠学園、両チームの今年の歩みを振り返れば、少し似たところがあるかもしれない。夏のインターハイは、ともに2回戦敗退。偉大な結果を残してきた卒業生たちがいるからこそ、下位回戦での敗北は苦く、重くのしかかった。そして敗北の反省をもとに試行錯誤しながらチームを再構築し、“この冬こそ”の思いで今大会に臨んだのだ。

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両者の激しいルーズボール争いが勝敗を左右した

そんな意地と意地とのぶつかり合いとあって、迎えたウインターカップ1回戦は予想に違わず熱戦になった。その中で主導権を握ったのは、尽誠学園。キャプテンの④松本 雅樹選手を筆頭に、次々と力強いドライブを仕掛け、シュートをねじこみファウルをもらう。「明成がディフェンスで圧をかけてくるのは分かっていたので、『逃げずに向かって行け』と言いました」という色摩 拓也コーチの指示を、まさに選手たちがコートで体現した。

一方の明成は、普段どおりの戦いができず、焦りから来る不要なミスや中途半端なプレイが目立った。要所でシュートを決めて点数的には食らいついたものの、後手に回ってしまい、結局劣勢を逆転できずに68‐81でタイムアップ。3連覇中の明成が初戦で姿を消す形となり、試合後、キャプテンの④清水 翔太選手は「先輩たちに申し訳ない気持ちです…」と言葉を絞り出した。

試合後、明成・佐藤 久夫コーチはこう振り返る。「もう少し、自分たちの力を発揮できていたら…と思いますが、なぜそれができないかと考えれば、湧き出てくる自信のなさが原因。それを練習の中で払拭できず、ここまでしかチームを作り上げられなかったのは、すべて私の責任です」

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ベンチも一丸となって勝利を手にした尽誠学園

また、本来の力が出せなかったことだけでなく、最大の敗因となったのが“球際の強さ”の差だ。「尽誠学園は立派でした。ルーズボールに何回も何回も飛び込んで…。明成の選手も頑張ってはいたけれど、取り切れず、その差が最後に出たと思います。ルーズボールに負けたり、体を張ったバスケットボールがどこかにいってしまったり、“明成らしさ”が欠けていました」と佐藤コーチ。

尽誠学園は、力強さ、球際の強さで相手を上回り、見事自分たちの力を発揮して勝利を挙げた。そんな姿を目の当たりにし、きっと明成の選手たちが改めて気付かされたこともあるだろう。主力選手には2年生以下も多い。挫折から這い上がり、“明成らしさ”を取り戻せるかどうかは、これからの自分たち次第だ。

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