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陸上部には負けていられない RSS

2016年12月27日 14時42分

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女子3回戦が行われた12月25日(日)、つまり大阪薫英女学院(大阪)がウインターカップ2016のベスト8進出を決めたその日に、同校の陸上部が都大路を駆け抜け、全国高校駅伝を制した。2年ぶり2度目の栄冠である。折しもバスケット部も全国大会の真っ最中。同じ運動部としては刺激を受けないわけがない。キャプテンの④金田 愛奈選手が言う。
「陸上部の子たちとは3年間同じクラスだったんです。だから優勝を聞いたときはすごいなと思ったし、同じ学校のクラスメイトとして嬉しい反面、運動部で競い合っている立場でいえば、自分たちも負けていられないなって思いました」

だがバスケットボール部が同じように全国制覇を果たすためには、越えなければならない大きな壁がある。高校総体、国体を制し、「高校3冠」に王手をかけている女王・桜花学園だ。16年ぶりの決勝進出をかけて戦う、準決勝の対戦相手である。

伝統の円陣でチームの気持ちをひとつにする大阪薫英女学院

伝統の円陣でチームの気持ちをひとつにする大阪薫英女学院

結論から言えば、大阪薫英女学院は57-81で敗れ、その壁を越えられなかった。
「前半がすべてでしたね」と安藤 香織コーチが言うように、序盤から桜花学園のディフェンスに押し上げられ、練習してきたことができない。むしろ「国民体育大会が終わった後、しっかりと走りきってからボールを受ける練習をしていたのに、みんながボールへ、ボールへと意識して動いていたので、余計に桜花学園はディナイがしやすかった」と④金田選手が振り返るように、ボールが動かず、人も動かず、得点を積み上げられない。前半を終えた時点での23点ビハインドは、桜花学園を相手にすると致命的でもあった。

しかし後半、スタメンの平均身長が170cmを超えるオールラウンダー集団は開き直った。攻守においてアグレッシブさを取り戻し、最大25点まで開いた得点差を13点差に縮める場面もあったが、最後は桜花学園に押し切られてしまった。
「国民体育大会で今年初めて桜花学園(総体1位・愛知)と対戦して、こんなに力の差(56-86)があるのかと思いました。そういう意味では、今回対戦できることは、私たちにとってリベンジの舞台だったんですが、点差は少し詰まったとはいえ、大差で負けているのでやはり悔しいですね(④金田選手)」

金田選手は、もともと自分がキャプテンになるとは思っていなかった。自分でもそういうタイプではないと思っていたし、故・長渡 俊一前コーチも「⑤髙原(春季)がこのチームのキャプテンをやっていきなさい」と言っていたので、⑤髙原選手を支える側にまわっていた。しかし長渡コーチが亡くなり、安藤コーチがその後を継ぐと「あなたがキャプテンをやらなければいけないんじゃないの?」と声を掛けてきた。昨年のことだ。そこで④金田選手は熟考し、今年度のチームがスタートしたときに「私がキャプテンをやります」と安藤コーチに告げたのだという。

「キャプテンなので、コート内の自分がダメなときも声を出して、チームを盛り上げなければいけない。安藤コーチからもそう教わっていたのですが、どうしても自分がダメになると、自分の世界に入ってしまうことが多かったんです。そこで自分がどこまで我慢できるか……この1年間、めっちゃ怒られたし、そこが一番苦労したところです」
今日の桜花学園戦でも苦しい展開のなか、内に入り込みそうな自分を抑え込み、④金田選手はチームを鼓舞し続けた。

最後までチームメイトを鼓舞し続けた大阪薫英女学院のキャプテン④金田 愛奈選手

最後までチームメイトを鼓舞し続けた大阪薫英女学院のキャプテン④金田 愛奈選手

陸上部のように全国の頂点には立てなかったが、明日、銅メダルをかけて3位決定戦を戦う。キャプテンとしての最後のゲームだ。
「桜花学園戦は自分たちが3年間やってきたことを出し切れずに終わったので、ここまできたら最後だし、自分たちのバスケットをやりきって終わりたい。40分間、これまでやってきた思いを3年生が中心になって出し切って、勝ちたいです」

今日は点差が離れた最後の場面を下級生たちに譲ったが、明日は3年生が最後までコートに立って笑顔で終わりたい。色こそ違うが、冬休み明けに陸上部の友人にメダルを見せるためにも――

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