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夏の悔し涙を力に変えた“覚悟” RSS

2016年12月26日 15時05分

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女子準々決勝、ベスト4進出を懸けて、千葉・昭和学院と北海道・札幌山の手が激突した。
両者は今年のインターハイでも3回戦で対戦し、そのときは1点差で札幌山の手が逃げ切り勝利。昭和学院は接戦を勝ち切れずに涙のベスト16で敗退となった。それでも実力的には互角と見られ、今度の再戦も、白熱した展開が予想された。

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昭和学院⑧赤穂 ひまわり選手と札幌山の手④栗林 未和選手は世代を代表する注目選手だ

中でも見どころとなったのは、絶対的エース同士のマッチアップだ。
昭和学院には⑧赤穂 ひまわり選手(184cm)、札幌山の手には④栗林 未和選手(188cm)という、超高校級のエースを擁する両チーム。二人はともに今年度の女子U-18日本代表に選ばれ、11月には「第23回FIBA ASIA U-18女子バスケットボール選手権大会」でチームメイトとしてプレイしたばかりだ。下級生の頃からともに代表活動に励み、互いに「未和ちゃん」「ひま」と呼び合うほど仲も良い。

それゆえに互いのプレイスタイルも熟知しており、どこを突き、どこを抑えれば最もダメージを与えられるかもよく知る相手。
特に赤穂選手は、守り方について「(栗林選手は)背が大きいので、まずは中でボールを持たせないように押し出したり、パスカットを狙ったりするようにしました」と、出だしから栗林選手にボールを入れさせなかった。加えて、積極的にスティールを狙った⑪星 杏璃選手ら、周りのガード陣も試合開始から気合いのこもったディフェンスを見せ、昭和学院が第1ピリオドで21−12とリードを奪う。

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ともに180cmオーバーの二人の空中戦は見ごたえがあった

追いかける札幌山の手は、第2ピリオド、ガード陣からの合わせで④栗林選手が次々得点を挙げた。しかし昭和学院の外角のシュートが絶好調。⑯笠置 晴菜選手の2連続3Pシュートを皮切りに、前半だけで8本の3Pシュートを沈め、リードを縮ませない。44−29で入った後半も昭和学院はディフェンスの手を緩めず、リードを保ったまま最後は91−55で試合終了となった。

36点差の快勝で、見事インターハイのリベンジを果たした昭和学院。特に55失点に抑えたディフェンスは、“夏の悔しさを晴らす”という気迫が、ひしひしと伝わってくるものだった。また、夏はケガで出られなかった笠置選手、⑱城内 はるか選手が要所で活躍したことも、チームを後押し。敗れた札幌山の手の④栗林選手も、試合後、「昭和学院の気迫を感じたし、夏はいなかった2人の3年生が戻ってきて、夏よりさらにチームがまとまっているように感じました」と、昭和学院の印象を語っている。

こうして、昭和学院が会心のプレイを見せた裏には、試合直前のあるやりとりがあった。
鈴木 親光コーチが、たまたま隣のコートの壁に貼られていた他チームの横断幕に「覚悟」という文字を見つけ、試合前に「あれを見ろ。覚悟を決めたか」と、選手たちに問いかけたのだと言う。
だが、選手たちにそんな問いかけは不要だったようだ。赤穂選手いわく、「組み合わせが決まった時点で、勝ち上がれば山の手と当たるなと思って、そのときから覚悟は決めていました。(鈴木コーチに問い掛けられたときは)内心、『今さら聞かないでください』と思いました(笑)」と冗談交じりに話し、安堵の表情を見せた。

点差ほどに、両チームに力の差があったわけではないだろう。注目のエース対決も赤穂選手が21得点・13リバウンド、栗林選手が32得点・7リバウンドと、それぞれしっかりと役目を果たした。それでも両者の明暗をくっきりと分けたのは、夏の悔し涙を力に変えた、昭和学院の強い“覚悟”だった。

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昭和学院は⑯笠置 晴菜選手らケガ人が復帰しチーム力がアップ

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