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現地レポート

いつか日本代表を超えるときまで RSS

2016年12月24日 16時27分

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今年度の女子U-18日本代表チームに名を連ねる④馬瓜 ステファニー選手(桜花学園)、④栗林未和選手(札幌山の手)、そして⑧赤穂 ひまわり選手(昭和学院)の3名は、1年次から注目され、チームの中心メンバーとして3つの全国大会、さまざまな国際大会を経験してきた。

彼女たちに向けられる“将来”には、もちろん高校を卒業した後にも日本代表として世界と戦ってほしいという願いが込められる一方で、チームとしても彼女たちが3年生になったときに、チームの核になってくれるはずという確信に満ちた願望もあった。

シード校として、初戦を迎えた福島・県立郡山商業のセンター⑦岡部 優花選手もまた、チームの核になってくれるはずだと“将来”を期待され、1年次からスターティングメンバ―として、ウインターカップ2014の舞台に立っている。

2年ぶりにウインターカップのコートに戻ってきた⑦岡部選手は、⑧赤穂選手を擁する昭和学院と対戦し、63-86で敗れた。2年前も1回戦で県立足羽に敗れており、彼女にとってはウインターカップで勝利を経験することなく、高校バスケットを去ることになる。

しかし、試合後の彼女の表情はとても晴れやかだった。目は赤く、涙もうっすらと残っているが、それでも笑顔でゲームを振り返る。
「3年間やってきて、最後の試合でファウルアウトしちゃったのは悔しいけど、今までやってきたことを出し切れたと思うので後悔はないし、(スタンド応援を含めた)28人で東京体育館でプレイできたことはよい思い出になります。このことを生かして、大学でもバスケットを頑張りたいです」

2年前は40分間緊張が解けずに、ゲームをまったく楽しめなかったと言う。しかし今回は結果として同じ負けとなったが、「周りも見えたし、仲間がいることにも気づけたので、楽しんでプレイができました」と、自身の成長を振り返る。

チームは前回大会に出場が叶わず、今夏の高校総体も県予選で敗れている。それでも彼女たちは下を向かなかった。
松本 理コーチが「夏までに仕上がらなかった」という得点源となる2年生がゲームの終盤に力を発揮できるようになり、チーム内のコミュニケーションも、これまで以上に円滑になってきた。⑦岡部選手はこう証言する。
「今年のチームは学年のつながりだけでなく、1、2、3年生全員が仲良くて、今年に入ってからは(松本)先生とも積極的に、今までできなかった会話や冗談を話せるようになりました。そうした仲のよさが今年のグンショー(県立郡山商業の通称)の強みだし、誇れるところだと思います」
胸を張って誇れるチームの団結力もまた、岡部が試合後に笑顔でいられた要因である。

女子U-18日本代表でもある昭和学院⑧赤穂 ひまわり(右)に真っ向勝負を挑んだ⑦岡部 優花

女子U-18日本代表でもある昭和学院⑧赤穂 ひまわり(右)に真っ向勝負を挑んだ⑦岡部 優花

高校生活の最後にマッチアップをしたのは、大会屈指のオールラウンダーである昭和学院の⑧赤穂選手だった。38失点、23本のリバウンドを取られてしまったが、ファウルアウトするまで岡部選手は赤穂選手に立ち向かい続けた。

「心の中では絶対に負けたくない、日本代表という名前に負けたくない、普通の高校生である自分でも止めてやるという気持ちで臨みました。でもやはり身長も高いし、テクニックもうまいし、そういうところで負けたかな」

そう言って赤穂選手のすごさを認めながらも、でも、と岡部選手は続ける。
「私も大学でバスケットを続けるので、もし、またどこかでマッチアップする機会があれば、次こそは止めたいですね」

次こそは日本代表を超えてやる――涙まじりの笑みを湛えた目の奥には、まだ戦いをやめないという火が灯っていた。

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